サステナブルであること、それは私たちの歴史の一部。
2023年は、生産量、価値の両面において最高の実績を記録しています。
受注量の点では、コロナ禍が収束を迎えた反動から急激な伸びがみられ、同年上半期は高級品需要の正常化で特徴づけられ、下半期は強い減速がみられたことから、2024年には特に横ばいになることが予想されます。
このことから迅速な納品のためのストックサービスの正常化と納品までの時間の最短化を有効に行うことが出来ます。
この事実は、企業の社会的責任の実施を増やすことが、企業戦略とは切り離すことの出来ない資産であることを裏づけるものです。
私たちは家族経営で繊維生産を行う企業として創業360周年を祝う祝賀イベント『Insieme(共に)』を、当社の人材にその全てを捧げるかたちで行い、社員の子弟の教育課程を支援する奨学金制度も制定しました。
環境においても、下水浄化施設の強化や企業のソーラーシステムエリアの拡充を行うなどの取り組みを続けています。
私たちは企業として、ウール・エクセレンス賞の制定、特に梳毛ウール生地について製品カテゴリールール(RCP)の策定提案に参加するなど製品のクオリティを重視しています。
1982年、Barberis Canonico系列の持株会社が、上質なウールの生産で有名なPyramul(オーストラリア、New South Wales)にあるGreenhills農場を買収しました。その後、同じ地域のClavering農場とLogiamond農場も買収しました。
このように、ウールのサプライチェーンの前工程から積極的に関与しようとする動きから、優先サプライヤーの国で存在感を確立しようとする意思が生まれました。これにより、地元農家との関係が強化され、最も持続可能な管理業務の検証が直接行われ、サクソンメリノ種の羊の畜産が支援されるようになりました。こうして、高水準の研究と畜産のベストプラクティスとの間に持続的なつながりが確立されました。
水の消費量を抑え、染料や補助化学薬品を回収するために、保存タンクや再循環ポンプの部門を設置して染浴の再利用を強化しました。
その結果、処理施設に送られていた廃水に含まれていた汚染物質の量が減少し、現在、廃水は一次ろ過された水と浄水だけになりました。
1987年、Pratriveroの作業場に自社の廃水処理施設が設置されました。大部分は染色や仕上げの部門からの水です。これらの部門では、完全生分解性の有機薬品のみが使用されています。
この最先端の施設には、一次機械ろ過の部門、有機汚染物質の生分解を加速する活性汚泥を扱う好気性処理施設(浄化タンク完備)、沈殿や汚泥の再循環、砂ろ過を行う三次活性炭処理場があります。
排水の水質は規制の範囲内になるので、最終的な産業廃水処理施設に送ることができます。
1998年になると、施設の改修と廃水処理の改善により、地表水への排水が許可されました。
繊維機械の防音エンクロージャシステム
2年後の騒音保護を規定する1991年イタリア法第277号を見越した騒音対策の導入は、繊維業界の労働環境におけるターニングポイントとなりました。防音キャビンは新しい織機の採用に合わせて進化し、第4世代まで開発されました。
第1世代:1989~1998年
1989年、レピア織機用として、天井の下に防音メタルハーフシェルを設置する初の防音キャビンが誕生しました。この10年のうちに、78台中72台の織機が防音されました。
第2世代:1998~2004年
2つ目のタイプのキャビンは床に設置するものでした。2000年5月、88台のレピア織機すべてに個別のエンクロージャが取り付けられました。
第3世代:2004~2015年
2004年、エアジェット織機が導入され、スライドドア付きハーフシェルの新しいタイプの防音キャビンが求められました。2006年には、50台の織機すべてにこのシステムが装備されました。
第4世代:現行のキャビン
2015年、最新のエアジェット織機で求められたのが第4世代の防音ガラスブースでした。これにより、これまでにない最高レベルの確かな防音が提供されるようになりました。
2020年以降、Pratriveroの織物工場には防音キャビンが完備されるようになりました。また、2017年からはPrayの部門で改修も行われています。現在のところ50%の進捗です。
仕上げ部門が大規模で明るさのある建物に新たに設置されました。ホールには、空気を清浄したり温度を制御したりできる革新的な空気処理システムが備えられ、作業エリアで快適な微気候を実現しました。
施設では、水や電力の消費量削減対策が実施されました。機械は、冷たい地下水、熱交換器や冷却エアコンプレッサからの温水(40°C)、会社の廃水処理施設からの再利用水のいずれかを使用できるようになっています。
機械類の配置や駐車場および貨物輸送エリアの設計を綿密に行ったことにより、ホールは整然とし、安全性と衛生が保たれるようになりました。
トップ染色と糸染色の工程がほぼ全面的に自動化されたことにより、新たな染色の部門が注目されるようになります。染料と補助剤の自動投与により、無駄が排除され、染色の計算式が最適化されることで、完全な色再現性が確保されることになります。
溶液槽の積込みや荷下ろし時に原料を自動的に処理することで、重量がかなりあるものでもオペレーターの手を借りずに移動できるようになります。
さらに、反染め機などのすべての機器には、初回分の染浴を回収する専用タンクが装備されたので、染料や補助剤の大幅な節約にもなりました。また、間接熱交換器で溶液槽を冷却して回収された熱により、タンクいっぱいの温度調整された温水が使用できるようになり、次のタンクに充填できるようになります。
2003年、仕上げ工程での毛焼きで生じる悪臭を処理するために、湿式スクラバーなどのシステムで構成される既存の設備機械を改良して、再生熱のサーマル燃焼システムを構築しました。
集塵前処理用のスクラバータワーを備えた新たな装置には、熱回収で使用する大型フロータワーが代替用として3つあり、さらに、高温燃焼で揮発性有機気体廃棄物を完全に酸化させる処理室があります。このように、周辺環境にもたらす臭いも中和されるようになっています。
2003年、若い世代への取り組みを再確認し、高校生や技術課程の大学生を対象に奨学金の募集を行いました。
2017年以降、地域のあらゆる人材を最大限に活用するために、奨学金の対象には従業員の子供のほかに、最終試験やその後の大学の課程できわめて優秀な成績を収めたBiellaおよびValsesiaの地域の学生も含まれています。
これは、研究を成し遂げるのにかかる費用を負担するかたちで学生とその家族を支援することで、学生の優秀さに報いることを目的としています。
Vitale Barberis Canonicoはオーストラリアに拠点を置くNew England Wool (NEW) の株主で、超ファインウールの持続可能な生産をはじめ、動物福祉や環境維持関連のベストプラクティスの促進に日々取り組んでいます。
2005年、New England WoolはNo Mulesed(ミュールシングなし)/Ceased Mulesed(ミュールシング中止)の申告システムを初めて確立しました。これは、2010年にAustralian Wool Exchange(豪州羊毛取引所)が、National Wool Declaration(全国羊毛宣言、NDW)を考案および導入することを見越したものでした。
その後まもなく、この宣言により、付加的な飼育コストに対応する目的で、オークションで決定された価格に加えて、「No Mulesed」のウールの各羊毛梱に対して奨励金を与えるインセンティブポリシーが導入されたのです。
さらに、引き続きNew England Woolでは、2015年に導入されたSustainaWOOL Integrity Scheme(サステナウールの完全化スキーム)を展開することで、剪毛、動物福祉要件、環境維持のためのClassing Code of Practice(分類別実施規則)のNWDを積極的にサポートしました。
2008年、法令231/01に準じる組織、管理、規制モデルを採用しました。Confindustria Guidelinesに従って作成し、取締役会の承認を得た文書です。
モデル法第231号には次のものが含まれます:
モデル法第231号の有効性を監視および検証する任務は、監督機関に委託されます。この機関のメンバーは、会社から独立していて、自立的な主導権および統制権を有しています。
2009年、TÜV Italiaより、品質管理システムに関するコンプライアンスであるUNI EN ISO 9001:2015規格の認証を取得しました。
UNI EN ISO 9001:2015は、運用と保守の両プロセスの計画、実装、監視、改善を行い、目標を達成する手段として品質管理システムを計画および実装することを目的とする組織の国際標準基準です。何よりもまず、顧客満足度が最大限に重要視されます。
エネルギー効率を考慮して、火力発電所における従来のシステムがメタンガスシステムに置き換えられました。新しい火力発電所は、仕上げ工程で使用される蒸気ボイラー4基と、染色工程で使用される温水発生器1基で構成されています。
4基のボイラーは熱負荷が非常に低く、高効率バーナーを備え、再利用の温水と予熱空気が動力源となっています。その結果、特に酸化窒素(NOx)に比べボイラー効率が高く(97.5%)、排出ガスが規定の制限内に抑えられています。
ボイラーバーナーの燃料には代替燃料が使用可能です。また、ディーゼル貯蔵タンクがあるので、メタンガスの供給が中断した場合でも生産の継続性は確保されます。
2012年、新たな企業福祉パッケージが開発されました。既存の生命保険に加えて、補助的健康保険、長期介護(介護料の年金保険)、年間免税費用バウチャー、早期退職年金基金のための時間預金、企業出資の医療機関が利用できるようになり、INPSの期日から各暦年末までの期間がカバーされます。
このパッケージは、フルタイムやパートタイムの従業員だけでなく、有期雇用従業員(外注作業者を含む)も対象になり、それぞれのパートタイムの割合と契約期間に基づいて保険料の再計算が行われます。
2012年、Associazione Tessile e Salute(繊維健康協会)の認定を取得しました。協会では、生産工程を評価したり、危険物質が存在しないことを確認したります。これにより、消費者向けの繊維製品における生産元、トレーサビリティ、安全性が保証されます。とりわけ、これはイタリア保健省および環境省と共同で行われています。
2014年、原材料の卓越性を追求した末、品質、トレーニング、定着率、持続可能性の4本柱に基づいたWool Excellence Clubが誕生しました。
18世紀の開発当時からのオーストラリアの畜産システムには、サクソン種の羊、ファインウール、原種を保護する慣習があり、持続可能で環境に優しいものでした。こうした慣習の中で得られた繊維を向上させることが今回の目的です。
さらに、コミュニケーションや相互関係に基づく直接的、個人的、永続的な交流を通じて、オーストラリアの生産者との信頼関係や良好な協力関係を強化することも目的とされています。また、農家は非常に有利な購買ポリシーにより支援されます。
毎年、Wool Excellence Awardでは、適切な動物福祉の実践で最高品質の羊毛を生産した農場に報奨金が与えられています。
2015年の設立以来、SustainaWOOL Integrity Schemeに加入しています。
SustainaWOOL Integrity Schemeプロトコルでは、動物福祉、倫理、製品品質において最高水準の家畜管理が求められます。また、生産チェーン全体の整合性とトレーサビリティも保証するものとなります。
1987年に建設されたPratrivero廃水処理施設が2016年に改修され、2つ目のラインができました。
活性汚泥の生物学的処理では、排水の水質が規制値の範囲内を維持しているので地表水への排出も可能ですが、現在のところ、MBR膜バイオリアクターとオゾン脱色システムを備えた限外ろ過ラインも一緒に設置されています。
このように浄化された水が仕上げの洗浄工程用にも再利用できるようなったことにより、自然環境の水使用が大幅に削減されています。
2018年、新たな統合型企業契約が締結されました。従来の福利厚生はそのままに、その内容が改善されました。
重要な追加点は、従業員向けの一連の地域サービス、施設、パートナーシップに関するVBCardでした。徹底した構想で社内用に設計されたカードは、約120の施設と店舗で利用できます。サービス提供は医療をはじめ、食品分野やパーソナルケアサービスなどの娯楽的なメリットまで多岐にわたります。
2018年以降、持続可能性レポートを発行して、報告年度中に経済、社会、環境分野で達成した取り組みや成果を報告しています。
レポートの目的は、当社の持続可能性戦略と、PratriveroとPrayの生産施設における相対的なパフォーマンスを報告することです。
レポートの作成は任意ですが、利害関係者との社会的責任の領域で最も重要な成果を共有するニーズに応えるものとなります。また、やりがいのある目標を高く設定することで、持続可能性の追求を促進するものとしても役立ちます。
2019年、TÜV Italiaより、環境マネジメントシステムのUNI EN ISO 14001:2015規格、および職業安全衛生管理システムのUNI ISO 45001:2018規格に準拠するとして認証を取得しました。
UNI EN ISO 14001:2015は、国際的に認知されているベンチマークで、環境を中心とした持続可能性に貢献することで体系的に環境責任を管理しようとする組織向けのものです。環境マネジメントシステムでは、コンプライアンス義務の履行と、環境パフォーマンスおよび目標の達成が成果として期待されています。
UNI ISO 45001:2018は、労働者の健康と安全性を向上させるために組織がマネジメントシステムを導入する際の国際的な基準になります。これにより、安全で健康な職場環境を実現し、業務上の傷病を防止し、OSH関連のパフォーマンスを積極的に改善することができるようになります。
2019年以降、現行の法律に従って再生可能エネルギーの購入を認定するAlperia Green Energyプログラムに参加しています。Alperiaが供給するグリーンエネルギーは、再生可能なエネルギー源由来のみとなり、South Tyrolの水力発電所で生産されているので、CO2は排出されません。
これにより、年間1000万kg以上のCO2が削減されることから、持続可能な未来の構築に大きく貢献している重要な方策と言えます。
2019年、人や環境への世紀のコミットメントから、環境負荷の低いファブリックのコレクション「HOPE」(いかに人と環境を最適化するか、How to Optimise People and Environment)が誕生しました。
コレクションには、染色されていない天然繊維を使用したファブリック、天然色で染められたファブリック、リサイクルウールを使用した混紡ファブリックがあります。品質とスタイルに合わせて持続可能な素材を絶えず探し求めながら、季節ごとに新しい商品を追加してコレクションを充実させています。2020年、オレンジの色合いを特徴とするインド産の非動物性繊維であるRed Eriシルクが発売されました。2021年には、ビエッラウールが追加されました。この繊維は、遊牧的なドロービング方法(2019年よりユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に掲載)で飼育されたビエッラ種の羊由来のゼロキロメートル運動繊維になります。
2019年、化学物質管理の4sustainabilityプロトコルを採用するプロセスが始まりました。MRSLにZDHCを実装する構造化方法論になりますが、有毒で有害な化学物質を排除して、人の健康や環境を保護することを目的としています。これを保証するために、生産プロセスに活動や制御を組み込み、実装レベルを定期的かつ透過的に評価します。
2019年7月25日、New England Woolは非営利目的のSustainaWOOL Integrity Schemeの知的財産を、ウールマーケティング協定を管理するAustralian Wool Exchange (AWEX) に移行しました。これは、このプロトコルを独立機関に委託し、権限、信頼性、流通を向上させることを目的としています。
SustainaWOOL Integrity Schemeでは、オーストラリアのウール生産における持続可能性基準のベンチマークを設定して、生産チェーン全体での整合性とトレーサビリティを消費者に保証しています。特に、動物福祉、倫理、製品品質においては最高水準の家畜管理が規定されています。
AWEX指定の監査員が定期的にサンプル監査を実施していますが、認定された農場は現在1,100以上に登ります。
2020年、SustainaWOOLはISO 9001認証を取得しました。
2021年、Control Unionより、責任あるウール規格(RWS)と責任あるモヘア規格(RMS)の認定を取得しました。
RWSは、ウールが動物福祉や環境影響の軽減に関する一定の基準に準拠した、責任ある管理下の農場で生産されたものであることを保証する自主基準です。また、バリューチェーン全体に沿ったトレーサビリティも保証するものとなります。
RMSは、モヘアが動物福祉や環境影響の軽減に関する一定の基準に準拠した、責任ある管理下の農場で生産されたものであることを保証する自主基準です。また、バリューチェーン全体に沿ったトレーサビリティも保証するものとなります。
2021年、再生可能資源から電力を購入することに加え、環境性の中性ガスのみを利用することを決定しました。
当社では、生産時のメタンガスの使用により発生するCO2量を担保することが認められているAlperia供給のグリーンガスを環境保護プロジェクトへの投資をもって相殺することにしました。
Alperiaのグリーンガスは、独立した業界認証機関であるTÜV NORTHによって毎年認定されていて、さらに、京都議定書の厳格な基準を満たすものとして最も知られている規格の1つである自主炭素標準にも準拠しています。
2020年の第一号導入、翌年には度重なる試験を行い、2022年にウール業界では初めて、作業員が繰り返し同じ動作を行うことによる疲労や筋肉痛から守るため装着型エクソスケルトンを本格導入しました。
作業員を巻き込むことを目的に、上肢部および腰部を保護するオットーボック社製の受動エクソスケルトンの有効化キャンペーンを推進しました。このエクソスケルトンは、紡績部門、経糸整形部門および発送用倉庫で使用可能となっています。
2022年、当社プラトゥリヴェーロ工場の最も古い社屋の屋根に300 kWpの太陽光パネルを初めて設置しました。パネルは、点検橋、清掃、メンテナンスを兼ねる鉄筋部分に配置されました。
2022年は、ControlUnionからグローバル・リサイクル基準認証を取得した年です。GRSはリサイクル素材を検証し、最終製品における調達トレースアビリティを保証するものです。これには、社会的、環境的、化学的観点を含め、要求基準満たされているかを厳密に検査されます。
2022年7月ヴィターレ・バルべリス・カノニコ資本のBuying Company、Vitale Barberis Canonico Wool Australia と Sudafricaを設立しました。これは素材調達の市場と品質確保に直接的に関わるための戦前基地の設置を目的としています。
同時にNew England Woolを廃止しました。
2023年、浄化施設内に2機目の浄化装置として精密ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法(MBR)による装置を設置し、さらなる下水浄化強化を行いました。
このことにより、2021年より実施している染色用の水再生ラインを拡充し、トップ染めや糸染めの染色槽に利用される水の浄化まで可能となり、著しい浄化水の回収率の上昇を得ることができました。