ウールエクセレンスクラブの10周年記念祝賀会をタスマニアで
世界で最も古い歴史を誇るウールメーカーの一つであり、一つのファミリーで情熱を注いで牽引してきたヴィターレ・バルべリス・カノニコが、オーストラリアのタスマニア州ローンセストンのワイナリージョセフ・クローニーで開催したウールエクセレンス賞授与式の席で、ヴィターレ・バルべリス・カノニコ・ウールエクセレンスクラブの10周年を祝いました。
このディナーイベントには、クラブのメンバー、オーストラリアにベースを置く素材買付専門会社のヴィターレ・バルべリス・カノニコ・ウールのスタッフや、オーストラリアのウール業界関係者、ヴィターレ・バルべリス・カノニコ代表取締役アレッサンドロ・バルべリスカノニコ氏、および原料買付責任者ダヴィデ・フォンタネートが出席しました。
前述の二名により2024年度の同賞が、リンク家が所有するグレンホルム牧場授与されましたが、この牧場は現当主で5代目にあたるマシューとその父親エヴェラードにより運営されています。ヴィクトリア州の南西部に広がるこの牧場では、2000年頃からスーパーファインウールの生産に焦点をあて、2400頭のサクソンメリノ種を飼育することにより、直径が平均17ミクロンを下回るほどの細いウール生産に到達し、様々な賞を獲得してきました。
ヴィターレ・バルべリス・カノニコが素材の卓越性を追求するため2014年に生みだしたのがこのウールエクセレンスクラブです。環境に配慮したオーストラリアの牧羊システムをその発展段階の生みの親となり、貴重なウールを生み出すサクソン種羊の保護することにより、その繊維の価値づくりを行うことを目的としています。そしてもう一つ大切な目標は、オーストラリアの牧羊業者との信頼関係と優れた共同事業を直接的にかつ互いに言葉を交わしながら、より長く個々の関係を築いていくことにあります。さらに牧羊業者からより好条件の買い付けを行うことにより経済的支援を行います。
これは細かな区分けを持つヴィターレ・バルべリス・カノニコの基準を満たす優れた品質のウール生産に向けたブリーディングも念頭に入れた長期的戦略に関連した活動となります。
このクラブに加盟する牧羊業者はオーストラリア東部と南部そしてタスマニアに点在し、全部で29社を数えています。クラブの要となる4つの柱、それは、品質、教育、信頼そしてサステナビリティです。
品質:より良い質の素材を選別する、それには素材を見分ける能力とその質に見合った価格を保証することが必要です。これは優れた生産力とそれに見合った報酬を与えることのみで実現するのです。ヴィターレ・バルべリス・カノニコでは、国際市場における価格をベースとし、より高い品質を得るために牧羊業者が費やす努力に見合った報酬を生産コストに上乗せするして支払うことにしています。
教育:エリアのクラブメンバーとウールクラッサーを対象に、年ごとにヴィターレ・バルべリス・カノニコのエキスパートによるワークショップを行っています。ヴィターレ・バルべリス・カノニコの基準に沿った、正しいウール選別とそのための品質分析に主な焦点を当て、この分野の実地教育に関連したワークショップです。
信頼:優れた腕を持つ牧羊業者をクラブに集めることは、卓越性を共有する文化、知識、交流、成長をベースとしたコミュニティを構築し、時間をかけてより強い絆を構築することにあります。
サステナビリティ:ヴィターレ・バルべリス・カノニコにとってサステナビリティのコンセプトは、人に、地域に、そしてその両方から私たちが得た成果に対する責任の同義語です。
そのため、ウールエクセレンスクラブにより、当社は倫理的牧羊業と毛刈りの実践を啓蒙していきます。
同クラブとしてさらにウールエクセレンス賞を創設し、毎年、動物の福祉に配慮しつつ最も優れたウールを生産した牧羊業者に対し50000オーストラリアドルの賞金とイタリア旅行を授与し、ヴィターレ・バルべリス・カノニコ社を実際に見学する機会を設けています。
この賞は、クラブのメンバーがその年(7月から翌年6月まで)に刈りとり、納入した羊毛を対象としています。品質基準(特に繊維長、繊度、クリンプ)を下に前もってサステナブル条件(動物の福祉基準について少なくとも一つ認証等を取得したパドックで飼育)されているという条件を踏まえ、さらにプロのクラッサーが選定を行います。ウールエクセレンス賞の規定に基づき、コロナ禍のあった時期のみを除き、2014年から毎年開催されています。
ディナーイベントの席で挨拶に立ったアレッサンドロ・バルべリス・カノニコは、
「今年でクラブ創立10周年を迎えます。これは未来に向けたコラボレーションへの足掛かりと共存の継続のための重要な節目となります。最高のクオリティとスタイルをサクソンウールで実現していくことが私たちの使命でしょう。長期戦略として、クラブの力を借りてサクソンメリノのDNAを守っていきます。いくつかの牧場では世代交代が見受けられます。このことからも牧羊業者の未来は若い世代の手に託されていることが分かります。クラブの活動もこれまで以上に活発になっているという重要な現れだと捉えています。」と述べました。
写真著作権者: Jason Cartwright @jasoncartwright