エドワード8世、ウィンザー公 - Vitale Barberis Canonico
エドワード8世、ウィンザー公

エドワード8世は、20世紀を飾る貴族の中で、特に、紳士服の哲学や気こなしのアイデアにおいて際立った存在でした。プリンス・オブ・ウェールズの称号を得た彼は、男の着こなし術に精通し、イノベーターであり、現代で言うところのファッショニスタでもありました。高い権威をもつ『arbiter elegantiae(趣味の審判者)』として、類まれな洗練性を持ち、大胆かつ気取ったしぐさでさえ、真の品格を形成する決まり事に作り替えることのできる人物でした。
彼が有名にした『ミッドナイトブルー』は、『限りなく黒い黒』の間接的な生みの親でもあります。つまり、至るところで人工照明が用いられる現代では、彼の『ミッドナイトブルー』が光の反射によって『黒以上に黒い』色合いを生んでくれるからです。
社交界のプリンスであっても決して軽薄ではなかった彼。1936年1月20日イギリス国王そしてイギリス帝国の王として戴冠します。が、その1年後、アメリカ人女性ウォリス・シンプソンへの愛を貫くために退位したことは、政治体制の危機をもたらしたのは事実であったとしても、素晴らしきラブストーリーとして世界中の人々に今も語られています。
ヴィターレ・バルべリス・カノニコ(Vitale Barberis Canonico®)のテキスタイル・アーカイブには、1930年代から40年代の一目で英国製と見分けのつく、多くの見本帳が保存されています。言い換えるなら、それらはウィンザー公のような高いこだわりを持った難しいクライアント達が愛した、まさにサヴィル・ロウ通りのビスポークハウスに出入りしていたウールメーカーによるテキスタイルの数々を収めたものなのです。

ファンシーズ・スプリング1940 No.5

ここにお見せする『ファンシーズ』のオリジナルの見本帳は、かなり高い確率で、ヨークシャーのハッダースフィールドで製作されたと思われます。どのウールメーカーのものであるかは未だに確認できていませんが、およそ1930年代から50年代のもので、製作したメーカーの営業用及び生産記録用として多数の配色バリエーションを保存した見本帳となっています。
見本帳は全75ページで、生地のスウォッチをまとめてページの表面に糊付けされています。『ファンシーズ』には、テーラーの紳士服用の様々なタイプの生地が収集されています。

*参照生地 101から200
**こちらにお見せしているオリジナル生地は1940年冬物となっています。

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